kawausonotetugakuのブログ

哲学書や思想書を使って現代社会を分析していきます。

マックス・ヴェーバー『職業としての政治』を5分で解説

マックス・ヴェーバーはこの本の中で政治家には3つの資質が必要だと論じます。

『情熱は、それが「仕事」への奉仕として、責任性と結びつき、この仕事に対する責任性が行為の決定的な基準となった時に、はじめて政治家をつくり出す。そしてそのためには判断力――これは政治家の決定的な心理的資質である――が必要である。』(マックス・ヴェーバー 脇圭平 訳 『職業としての政治』2011年 P78)

この3つの資質(情熱・責任感・判断力)が揃ってやっと政治家として成り立つのだと。こういうことです。

さらに政治家において気をつけなければいけない点があるとヴェーバーは言います。

『だから政治家は、自分の内部に巣くうごくありふれた、あまりにも人間的な敵を不断に克服していかなければならない。この場合の敵とはごく卑俗な虚栄心のことで、これこそ一切の没主観的な献身と距離――ここ場合、自分自身に対する距離――にとって不倶戴天の敵である。』(前掲書 P79)

虚栄心に負けることが政治家が1番やってはいけないことなのです。

 

さらに政治家の性質として

『党派性、闘争、激情――つまり憤りと偏見――は政治家の、そしてとりわけ政治指導者の本領だからである。』(前掲書P41)

を挙げます。

この議論はヒトラーなどを振り返ってみるとまさにその通りのように思えますね。激情こそ民衆を動かすのですし政治家にあって当然ともいえます。

 

蛇足ですがルソーは政治を良くするためには民衆にも情熱が必要だと言います。

『というのは、全然熱情をもたない人間は、確かに極めて悪い市民であるだろうからである。』(ルソー 河野健二 訳 『政治経済論』岩波文庫 2018年 P37)

市民とは政治に参加している民衆のことです。政治を良くしたいならば政治家のみならず市民にも熱情つまり、情熱が必要だということなのです。

逆にいえば、情熱を持たない民衆は最悪の市民だと言えます

参考文献

マックス・ヴェーバー 脇圭平 訳 『職業としての政治』2011年

ルソー 河野健二 訳 『政治経済論』岩波文庫 2018年